パリで最もエレガントなオフィス「50 Montaigne」の未来を垣間見る

2021年4月14日 に ヨーロッパ

執筆者:エリック・トレギエ(Challenges、原文フランス語)

来年完成予定の「50 Montaigne」は、有名な建築物が珍しくないパリ8区でも最高にエレガントなビルになるでしょう。私たちは今回、この建物を手掛けた建築家の案内で建設現場を訪ねました。

広々としたフロア(1万2,500m2)と1890年に遡る歴史あるファサード、そして環境に優しい外壁と屋根を備えた「50 Montaigne」は、近隣住民だけでなくここで働く1000人以上の人々に、またとない快適な環境を提供することになるでしょう。ただし、ここで働けるのは、1m2あたり930ユーロという非常に高額な家賃を支払う余裕のある企業の従業員に限られます。「50 Montaigne」は、「54 Montaigne」(同じくThe Olayan Groupの所有)、「22 Bayard」(RTLの元本社)、「26 bis rue François-1er」(Europe 1の元本社)などリノベーション中の競合オフィスビルがひしめく8区はおろか、パリ市内でも最も家賃の高いオフィスビルの一つになる見込みです。Chelsfield Franceのシニアアセットマネージャーとして、このビルを含めThe Olayan Groupが所有するビルの管理を担当するニコラス・マリンは、「テナントには高級ブランドグループ、コンサルティング会社、法律事務所などを想定しています」と述べています。

建築家のガイドツアーに参加

この建物の素晴らしさを十分に理解するには、Fresh Architecturesのジュリアン・ルソー氏がガイド役を務める見学ツアーに参加するのが一番です。ロンドンでレンツォ・ピアノ氏などと働いた経歴を持つルソー氏のツアーは、いつも最上階である9階からスタートします。私たちが訪れた日、9階には全く何もなく、Bouygues Constructionの作業員が地上約30mの高さで空中に張り出すバルコニーに最後の仕上げを加えていました。

9階からはこの地区の街並みが一望でき、ぐるりと見渡せばモンパルナスとエッフェル塔、ラ・デファンスのビル群、オペラ座、サクレクールなど、息をのむようなパノラマビューが楽しめます。ルソー氏は次のように説明します。「屋根全体を新しくし、地域冷暖房システムに切り替えて冷却塔を撤去したことで、1,000m2の屋上庭園を実現しました。また新鮮な空気の中でリラックスできるようフロアごとにロジアを設置し、さらに私道に面した裏側のファサードの一部を改修してテラスを整備しました。」

働く人々の健康を重視

明るい色の石材を使ったファサードは断熱効果が高く、窓も外気の熱を遮断する断熱窓を採用しています。徹底した省エネ策により、BREEAMの「エクセレント」、HQE(High Environmental Quality)の「エクセプショナル」、WiredScoreの「ゴールド」など、複数の認証を得ることができました。ビルの円滑な運営を担当するBouygues Constructionのグループマネージャー、アレックス・アストロフィ氏は次のように述べています。「たとえば、撤去した資材や機器の多くを再利用に回したり、解体予定だった600m2のコンクリートフロアを残すことで約60トン相当のCO₂ 排出削減を達成しました。こうした取り組みにより、CSRのモデルプロジェクトとしてBouygues TopSite認証を授与されました。」

効率の良いモジュール型のこのビルは、8区のオフィスビルとしては唯一、1,500m2のフロアプレートを備えています。あらゆる部分で衛生規則を順守し、利用者の健康に配慮しました。Chelsfield Franceの開発ディレクターであるギヨーム・カンチアーニは次のように説明しています。「円形劇場を思わせる2,000m2のスペースに、各種サービス、フィットネス設備、24時間利用可能なケータリングを備えた、心身の健康を促す先進的な空間を整備することで、平均を大きく上回るサービスレベルを追求しました。また、建物が2つの道路に面しているという特長を生かし、3ヵ所の入口のうち1つを自転車専用にしました。専用口から入って500m2の中庭を通り抜けると自転車置き場と自転車クラブがあり、メンテナンスも受けられます。」

ホテルクオリティのロビー

ロビーを手掛けたのは、ヴィラ・メディチで研鑽を積み、メゾン・エ・オブジェ(Maison et Objet)の2018年デザイナー・オブ・ザ・イヤーに輝いたRF Studioの建築家、ラミー・フィッシュラー氏です。フィッシュラー氏は室内装飾も全て担当しました。荘厳なロビーはオフィスビルの常識を打ち破るサービスレベルを実現しています。ニコラス・マリンは次のように説明します。「レセプションデスクのあるホテルのロビーのようにすることもできれば、お酒を楽しんだり、夜は会議などのイベントを開いたりするスペースにすることもできます。」あとはテナントを1つ、あるいは建物を分割するなら2つ探せば、年間1,300万ユーロ以上の賃料収入がもたらされます。もちろんこれはどこにでもある物件ではありません。しかし、あらゆる企業が組織再編に取り組み、新たな拠点を探している今、こうした建物は従業員を仕事に戻りたいという気持ちにさせるかもしれません。


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